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血尿、健診で尿の異常を指摘

血尿とは

血尿は、尿に赤血球が混じっていることを指し、腎臓や泌尿器系の病気の診断や治療に重要な役割を果たします。血尿の診断方法には、尿の色を目で見ることに加えて、試験紙を使った尿潜血反応検査、そして顕微鏡を使った尿沈渣検査があります。これらの検査によって、血尿の原因を特定し、適切な治療を行うことができます。顕微鏡的血尿(目で見てもわからないきれいな尿であるが、顕微鏡でチェックすると血が混じっている、検診で尿潜血を指摘された)は、年齢が上がるほどよく見られ、特に男性に多いことが判っています。日本ではおおよそ500万人がこの症状があると推定されています。そして、血尿の原因は年齢や性別、その他のリスク要因によって変わります。だからこそ、患者さん一人ひとりに合わせた検査方法を選んで、その後の適切な治療を行うことが大切です。また顕微鏡的血尿は40%では持続することが知られています。また、約10%のケースでは症状が進行し、蛋白尿(尿にタンパク質が混じる状態)が現れ、一部の場合では腎不全になる可能性があることが判っています。50歳以上の男性で14日間連続して尿潜血検査を行った研究では、1340人のうち283人(21.1%)が少なくとも1回尿潜血反応が陽性となる結果が得られました。

顕微鏡的血尿の場合に疑うべき病気とは

血尿は、腎臓や尿路のどの部分からでも起こり得ます。顕微鏡的血尿(目で見てもわからないきれいな尿であるが、顕微鏡でチェックすると血が混じっている、検診で尿潜血を指摘された)がある患者の中で、腎臓や尿路の病気が見られる割合は2%程度、尿路の癌が判る割合は0.5%程度と報告されています。顕微鏡的血尿を引き起こす主な病気としては、腎糸球体疾患、尿路上皮がん、腎がん、前立腺がん、尿路結石症、膀胱炎、前立腺肥大症、腎動静脈奇形、腎嚢胞などが挙げられます。また、尿潜血が陽性で、命に関わる可能性のある病気としては、尿路上皮がん、前立腺がん、腎がんが考えられます。

顕微鏡的血尿の原因を調べるために必要な検査とは

顕微鏡的血尿の原因を調べる一般的な検査方法には、尿検査、尿細胞診(尿の中にがん細胞を疑う細胞がいるか評価する検査)、および腹部の超音波検査があります。これらの検査で異常が見つかった場合、膀胱鏡検査や必要に応じてCT検査が行われます。また、高リスクの患者さんには、尿検査、尿細胞診、腹部の超音波検査に加えて、膀胱鏡検査も適用されます。

肉眼的血尿とは

肉眼的血尿は、尿に目で見える血が混じっている状態を指す医学用語です。これは、濃い赤色で血の固まりが混じる状態から、透明で淡いロゼワインのように見えるわずかに赤みがかった尿まで、様々な程度があります。尿中の血が古くなっている場合や持続的な出血がない場合には、コーラのような茶色になることもあります。通説として「疲れると血尿が出る」ことが有名ですが、単純な疲労のみで肉眼的血尿が出ることはまれであり、泌尿器科で原因の精査が必要です。

肉眼的血尿に関連する症状

肉眼的血尿に関連する症状は、主にその原因に依存します。感染症や結石が関係している場合、肉眼的血尿は痛みなどの症状を伴うことがあります。一方で、小さな膀胱腫瘍からの出血による肉眼的血尿は全く痛みがないこともあります。症状があるかないかに関わらず、肉眼的血尿が判った場合は泌尿器科の医師に相談するための予約を取ることが重要です。

肉眼的血尿の原因と診断

肉眼的血尿の原因は男女問わず、腎臓から膀胱、女性では尿道、また男性の場合は前立腺から尿道までの尿路のどこかに存在する可能性があります。

尿路感染症

血尿の原因の一つに、尿路感染症があります。これは、細菌が尿路に侵入する結果として生じます。細菌が侵入すると、膀胱で増殖して炎症を起こし膀胱炎を引き起こすか、腎臓で増殖し腎盂腎炎を引き起こします。尿路感染症に関連する症状には、頻尿、尿意切迫、排尿時の痛みや灼熱感、異臭のある尿、場合によっては発熱が含まれます。腎盂腎炎は腰痛を伴うこともあり、重度の尿路感染症の分類されます。入院が必要になる場合もあります。

尿路結石症

高尿酸血症といった特定の代謝疾患、または自力で尿を出すことができない排尿障害に伴って、尿内の結晶が析出し、腎臓、尿管、または膀胱に結石を形成することがあります。結石は、尿管や膀胱の出口を閉塞していない場合は無痛ですが、尿の流れを阻害すると激しい痛みを引き起こすことがあります。結石が腎臓、尿管、または膀胱の内側の柔らかい粘膜を擦ると、顕微鏡的血尿から肉眼的血尿まで様々な血尿を引き起こすことがあります。

腎実質疾患

顕微鏡的または肉眼的血尿は、腎臓に関連する特定の病気によって引き起こされることがあります。特に糸球体腎炎はその代表例です。これは、毛細血管から血液をろ過する腎臓内の微小な器官である糸球体の炎症を特徴とする病気です。糸球体腎炎は、糖尿病、ウイルス性または細菌性感染症、血管疾患または血管炎、IgA腎症などの免疫疾患など、様々な疾患の表現として生じる可能性があります。

前立腺肥大症

前立腺は男性にしか存在せず、膀胱から尿が排出される直後の位置にある精液を作る臓器です。ドーナツ型の器官で、膀胱付近の尿道の一部を形成し、前立腺が肥大することで尿道を圧迫し尿路閉塞を引き起こします。前立腺が尿道を圧迫するにつれて、膀胱から尿が排出されることが徐々に難しくなり、夜間の排尿、頻尿、尿意切迫感、尿失禁、尿路感染症、水腎症、膀胱結石、および/または肉眼的血尿などの症状を引き起こすことがあります。

尿路腫瘍(腎盂尿管がん、膀胱がん、前立腺がん、腎がん)

膀胱、腎盂尿管、または腎臓のがんからの出血により、顕微鏡的血尿や肉眼的血尿が生じることがあります。特に肉眼的血尿は膀胱がん患者の最も一般的な症状として知られていますので注意が必要です。腎臓自体から生じる腎細胞がんが進行すると血尿が生じることがあります。前立腺がんも血尿を引き起こす可能性があります。

血尿のリスク因子

肉眼的血尿のリスク因子は血尿を起こしうる疾患のリスク因子となります。高齢、男性、および喫煙歴、婦人科腫瘍などで放射線治療を受けたことがあるといった事実は、肉眼的血尿の原因として悪性腫瘍(がん)の関与を示唆する患者さんの特徴です。

肉眼的血尿を調べるための検査

肉眼的血尿で患者様が受診した場合、必要に応じて以下からいくつかの検査を行います。

膀胱鏡検査

一般的なお箸と同じ程度の太さの柔らかい素材で出来たカメラを尿道から挿入し、前立腺や膀胱内を観察します。この検査では通常CT検査や腹部超音波検査で分からない膀胱の粘膜表面の異常を十分に評価することができます。膀胱腫瘍、膀胱結石、膀胱炎、および男性の前立腺肥大症からの出血、または女性の場合は骨盤臓器脱などの症状を明瞭に見ることができます。

画像検査

患者の重症度とリスク要因に応じて、腹部超音波検査、CT検査、またはMRI検査を行います。場合によって、腎盂や尿管を強調して表示するための造影剤を使用したCT検査を行うことがあります。超音波検査以外のCTやMRI検査は当院から徒歩1分のクリニックで依頼しております。

採血・尿検査

採血や尿検査により尿路感染症や血尿に関連する状態に寄与しうる糖尿病、膠原病の可能性について評価することが出来ます。また尿中のがん細胞を検出する尿細胞診検査や尿中の細菌の種類や抗生剤への耐性を評価する尿培養検査を行うことで診断やより効果的な治療を行う事ができます。

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